cowden病
特徴的な皮膚粘膜病変と全身諸臓器の過誤腫性ないし腫瘍性病変による多彩な臨床像を呈する常染色体優性遺伝性疾患である.近年,第10番染色体の PTEN 遺伝子が本症の原因遺伝子として同定され,その機能解析が進められている.
消化管では高率にポリポーシスを合併し,特に食道,胃,遠位大腸に多発するポリープが特徴的である.この病変分布は他の遺伝性消化管ポリポーシスとの鑑別点として重要な所見である.組織学的には過形成もしくは過誤腫の像を呈することが多い.
皮膚の特徴的病変としては、
顔面の外毛根鞘腫
四肢の角化性丘疹
口腔粘膜乳頭腫
掌趾の点状陥凹
硬化性線維腫 などがある。
成人型Lermite-Duclos disease(小脳異形成神経節細胞腫)や巨頭症も特徴的である。
合併する悪性腫瘍として、
乳癌(20-50%)
甲状腺(濾胞腺)癌(10%)
子宮内膜癌(5-10%)
腎癌、胃癌、前立腺癌、皮膚癌 などがある。
この他、良性腫瘍(甲状腺腫、乳腺線維嚢胞腫、脂肪腫、線維腫)、精神遅滞も伴うことがある。
早期に確定診断して、その後の悪性腫瘍(乳腺、甲状腺、子宮内膜、腎臓など)の早期発見のために、定期健診が重要である。
18歳から尿検査を含めた検診を開始し、50歳からは大腸内視鏡が必要になる。また、18歳から男女ともに乳癌に対してのセルフチェックを開始し、25歳からは乳癌検診を行い、30歳前半からはマンモグラフィとMRIを開始する。甲状腺癌に対しても、18歳からエコー検診を行う。子宮内膜癌に対しては、30歳後半頃から吸引細胞診を行い、閉経女性に対しては、経膣エコーで経過観察する。