expulsive_hemorrhage
駆逐性出血。
内眼手術の術中に生じる、脈絡膜出血を指す。硝子体手術、角膜移植術、濾過手術、嚢内水晶体摘出術等、硝子体腔が開放されて低眼圧が持続する際に起こりやすいとされる。極めて予後不良。
術中に早期に気付くことが肝要で、初期ならリカバリーが可能。硝子体手術中に、突然眼底の視認性が下がって「異様な感じ」がする。脈絡膜の突出で気付くケースもある。急速に進行し、灌流チューブを遡るほどの勢いで出血する事がある。こうなると手の施しようが無い。
超音波水晶体乳化吸引術での発症はまれ。術中に前房形成不全、硝子体脱出が生じ、その後、脈絡膜剥離や網膜が見える。前房形成不全が見られたら、血圧等のvital signを確認する。場合によっては、PEA、I/Aの終了時点で一旦、創を閉じる事も考慮する。
角膜移植術中に発症すると、眼内の内容物が全て創から噴出する。指で押さえるしか対処法が無い。予防が第一である。グラフトを迅速に4糸縫合する、開瞼器を緩める、助手に吸引させない、等の配慮が重要。