タンパクキナーゼ
定義
タンパクをリン酸化する酵素。タンパクのリン酸化は、タンパクの立体構造をかえることがしられており、機能をもったタンパクのスイッチの役割をしている。こうしたキナーゼは518種類あるとされ、全遺伝子のうち1-2%占める大きなファミリータンパクである。
機能
タンパクをリン酸化する酵素であるキナーゼは、機能タンパクのスイッチの役割を果たし、細胞内のシグナル伝達など生命現象の調節を司り、生体がもつ酵素のうち一番重要なものの1つといっても過言ではない。特に最近癌細胞の増殖を調節することが知られ、こうしたキナーゼを阻害する薬剤が、キナーゼ阻害剤として分子標的療法の重要なツールとして注目をあつめている。なかでもチロシンをリン酸化するチロシンキナーゼ阻害剤が有名で、たとえば、慢性骨髄性白血病の原因遺伝子であるBCR-ABLやマスト細胞腫、GISTなどの原因遺伝子であるc-KITの阻害剤であるグリベック、肺癌等の原因遺伝子であるEGFRの阻害剤であるイレッサが知られる。 また血管新生因子であるVEGFRに対する抗体療法抗VEGF療法も最近注目されている。
kinomeという概念
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こうしたキナーゼのあつまりが、遺伝子の集まりであるゲノムに対するカイノーム(kinome)という概念である。518のキナーゼからなり、チロシンキナーゼをはじめとした7つのキナーゼのグループがある。こうしたカイノームを扱ったデーターベースもいくつか出てきており、生体の機能を解析する上でまた疾患の治療法を考案する上で非常に重要である。
が知られる。