単純ヘルペス脳炎
単純ヘルペス脳炎は、わが国で最も頻度の高い重篤な散発性脳炎(ウイルス性脳炎の10〜20%を占める)である。予後不良(無治療での致死率70%)であり、早期治療が予後を左右する。
臨床像
- 1週間以内の経過で、発熱、頭痛、嘔吐、項部硬直、それに伴う急速な意識障害、けいれんなどを発症する。
- 髄液検査で、細胞数↑(リンパ球優位)、蛋白↑、糖正常〜軽度低下を示す。
- 頭部MRIのT2強調画像やFLAIR画像で側頭葉を中心に高信号、または頭部CTにて、側頭葉の低吸収域(low density area)、脳波所見で、周期性一側てんかん型放電(PLED)が認められる。
- 本症では脳実質の側頭葉に障害がみられるため、言語障害や記憶障害といった症状が強く現れることがある。
- 年長児〜成人ではほとんどがHSV-1によるが、新生児ではHSV-2によるものが多い。
診断
- 確定診断はPCR法によるHSV-DNAの検出、またはCF法またはELISA法にて血清・髄液中の抗HSV抗体↑
治療
- 抗ウイルス薬(アシクロビルまたはビタラビン=Ara-A)を点滴する。
- また、抗脳浮腫薬としてグリセロールを使用する。