国民医療費

国民医療費は医療機関等における傷病の治療に要した費用を推計したもので、公的な医療を提供する際に医療機関に支払われた総額を示す(この統計には介護保険は含まれない)。国民医療費総額は平成23年度で385850億円で、人口1人当たりでは301900円である。これは、前年度(平成22年度国民医療費:374202億円)と比べても高い値であり、ここ30年間常に上昇傾向である。国民医療費増加の主たる原因は老年人口の増加であり、65歳以上の医療費で半分以上(52.7%)を占める。また、不況の影響で国民所得が伸び悩んでいたため、国民医療費の対国民所得比も上昇傾向である(平成23年度で11.13%)。ただし、対GDP比は9.6%2010年のOECD Health Data)であり、この値は他の先進国(アメリカ、フランス、ドイツ)と比べると低い値であり、OECD加盟国の中では中位である(OECD加盟国の中ではアメリカが一番高い)。

国民医療費の財源を見ると、保険料が48.6%と半分近くを占め、公費が38.4%でこれに次ぐ。診療種類別の構成では入院医療費(37.3%)が入院外医療費(34.8%)よりも多い。傷病分類別では、循環器系の疾患が一番多く(20.8%、新生物(がん)(13.1%)と呼吸器系の疾患(7.8%)がこれに次ぐ。これは、高血圧に対して数十年にわたって降圧剤を飲み続けるために循環器系の医療費が高くなっているといわれる。ただし、14歳以下に限定すると呼吸器系の疾患が一番多く、36.6%と大多数を占める。

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