安藤昌益
安藤昌益
あんどうしょうえき(1703-1762)
医師・思想家
現在の秋田県八戸で開業医として診察する傍ら、仏教・儒教などの外来思想と江戸幕府の身分制度を徹底的に批判する「自然真営道」を著した。全ての人間が農業に直接従事し、身分において完全平等な社会を理想とし、神仏といった超越的な存在を否定したその主著は100冊からなる大著である。そこで展開されている農本主義・平等主義・自然主義は、江戸時代においては、反体制的な超危険思想であり、その存在も著書も、死後200年間はほとんど知られていなかった。20世紀になって、東京大学教授の狩野亮吉によって「狂人の書」として発見され、在日カナダ大使のH.ノーマンが著した「忘れられた思想家・安藤昌益のこと」によってその存在が世界に知られるようになった。ロシア革命の指導者レーニンも驚愕したとされる、その偶像破壊的、包括的、内在的な世界観は日本思想史上の完全な例外であり、思想的な可能性についてはまだ十分に研究されていない。またその生涯の活動や言動についても記された文献はほとんど存在しない。