尖圭コンジローマ

ヒトパピローマウイルス(HPV)(ヒト乳頭腫ウイルス)を病原体とする性感染症(STD)である。外陰部、会陰、肛門周囲などに先の尖った乳頭状、鶏冠状の疣贅、俗にいう「イボ」を生じるのが特徴である。


臨床像

  • 外陰部、会陰、肛門周囲などに先の尖ったイボ状無痛性の疣贅がみられる。外陰部には掻痒感をきたすこともある。
  • 潜伏期間は長く、性交後3週〜8ヶ月間(平均2.8ヶ月)で発症する。
  • 分娩時に垂直感染することがあるが、確率は性器ヘルペスに比べ低いとされる。新生児に垂直感染すると幼児期に喉頭乳頭腫をきたす。
  • 他の部位への接触転移が多く、視診上治療しても、3ヶ月以内に約25%が再発する。

診断

  • 確定診断は組織診における、異常な角化やコイロサイトーシスの検出、HPVの核酸検出、血清抗体価の検出による。
  • 外見所見として、外陰部、肛門周囲に鶏冠状・カリフラワー状の疣贅を認める。その他、膣、子宮頸部、亀頭周囲、粘膜と皮膚の境界などにも同様の病変を認める。

治療

  • 第一選択は、冷凍療法イモキモド5%クリーム外用電気焼灼法、80〜90%の三(二)塩化酢酸外用である。
  • 第二選択としては、レーザー蒸散術、インターフェロン局所注射などがある。

ウイルス学

  • HPVは、パピローマウイルス科に属するDNAウイルスであり、ウイルスの型により様々な病型を呈する。
  • 尖圭コンジローマを生じる6型や11型、尋常性疣贅を生じる2型や4型、青年性扁平疣贅を生じる3型や10型などはローリスク型と呼ばれ、発癌が低いとされる。
  • 一方16・18・31・52・53型などは発癌との関連を指摘されており、ハイリスク型とされる。
  • 尖圭コンジローマでは6型、11型などのローリスク型で発癌の低いものが多かったが、最近はハイリスク型も増加している。ハイリスク型による尖圭コンジローマでは定期的な観察が必要となる。
  • その他、1型によるミルメシアや5型、9型、17型、20型なとによる疣贅状表皮発育異常症がある。
  • なお若年女性におけるHPVの感染率は数十%におよぶとされ、さらにそのほとんどが自然消失することを鑑みると、生涯感染率はかなり高いことが推測される。

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