色素上皮剥離

pigment epithelial detachment :PED

検査所見

眼底像 色素上皮層の隆起として検眼鏡的に判別できるが、小さいものなどまれにポリープ状脈絡膜血管症 (PCV)のorgange noduleや、confluent drusenと紛らわしいものはある。

造影所見 FA,IA, 共に色素上皮下の蓄積物により、hypo-, hyper-fluorecsence両方呈しうる

分類

serous PED

明らかなCNVの存在を伴わないPED。表面もなだらかで比較的「きれいな」色素上皮剥離である事が多い。PCVと診断のつく前の早期疑い例や、中心性網膜炎などでみられる。自然経過で平坦化することもある

fibrovascular PED

PED下にCNV(occult CNV)が存在すると考えられるもの。しばしば不整隆起としてみられ、網膜下にdebris状の滲出物・沈着物がみられることもある。OCTで色素上皮下の高輝度反射を目安とすることもある。また網膜下出血などもoccult CNVの存在を示唆する。(PCVに合併するPEDもここに分類される:要確認)。

hemorrhagic PED

出血性の色素上皮隆起を特にこういう。検眼鏡的にも暗赤色隆起ということで判別でき、造影上は概ねblock像となる(ポリープなどの漏出が一部検出できることもある)ので、造影検査は少し出血吸収を待って行った方が情報は得られる。主にPCVに合併する所見である。

治療

PEDがあっても網膜下(網膜と色素上皮の間)に滲出性の変化など見られない場合には必ずしも視力低下を伴うわけではなく、PEDそのものに対して特別治療を行う事はない。中心窩にかかる網膜下の滲出性変化がある時には基本的にPEDを合併する原疾患(AMD, PCV, CSCR)に対する治療を行う。

合併症(合併所見)

色素上皮裂傷 (rip)

脈絡膜新生血管 (CNV)を伴う症例などでみられ、増殖組織の収縮などにより色素上皮が裂けることがある。通常さけた色素上皮は一方にたくし上がって隆起像となり、色素上皮欠損部分は検眼鏡的には色素上皮萎縮像のようにみえる。FAGで色素上皮欠損部はwindow defectとなるのでよりわかりやすい。自然経過でおこることも、凝固術の治療後におこることもある。特に対応策はないので通常そのまま経過観察。視力予後は裂ける場所による(中心窩が色素上皮欠損部の上に来ると当然視力予後不良)。

microrip

PEDの辺縁(まれに辺縁でないこともある)にFAG検査時pin pointに始まる漏出点として検出される。PCVのPEDなどでみうけられる所見であるが、特に予後に関わるといった報告はない。自験例ではPCVの約5%に発症する。自然治癒例も多い。

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PED pigment epithelial detachment

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