慢性再発性多発性骨髄炎

小児期から青年期にかけて発症する、無菌性化膿性骨髄炎を主体とする疾患であり、痛みを伴う骨髄炎が多発し、寛解と像悪を繰り返す事が特徴である。掌蹠膿疱症などの皮膚症状を合併する事も多く、サホー(SAPHO)症候群も同一或いは類似した疾患と考えられている。2歳以下で慢性再発性多発性骨髄炎を発症し、先天性の赤血球異形成貧血とスウィート病などの皮膚炎を合併する常染色体劣性遺伝疾患をマジード(Majeed)症候群と呼ぶ。マジード症候群の原因は、LPIN2遺伝子の異常である事が判明している。

疫学
稀な疾患であり、本邦での患者数は不明。
原因
病態生理は解明されていないが、双生児での検討などから遺伝的な要因が確認されており、感受性遺伝子座が18q21.3-22にある事が報告されている。マジード症候群の原因がLPIN2遺伝子の変異である事は判明しているが、遺伝子の作用や発症の機構は未だ不明。
症状
有痛性の無菌性の骨髄炎が多発し、寛解と増悪を繰り返すのが特徴で、症状は、数日で軽快する場合から、数年に及ぶ事もある。長管骨の骨幹端や鎖骨に起こりやすく、脊椎、骨盤、肋骨、下顎骨などにも認められる場合がある。画像検査では骨融解と骨硬化像が認められ、皮膚症状としては、掌蹠膿疱症や乾癬、スウィート症候群、壊疽性膿皮症などが報告されている。マジード症候群では、先天性赤血球異形成貧血を合併する。
合併症
多くの症例は、数カ月から数年で自然寛解するが、炎症が長期に及ぶ例では関節の拘縮が問題となる場合がある。
治療法
確立された治療法はないが、非ステロイド性消炎鎮痛剤で治療される事が多く、最近ではビスフォスフォネート剤の有効性が報告されている。難治例に対しては抗TNF療法も行われる。

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