新生児一過性過呼吸(TTN)

通常、胎児肺に充満する肺水は、分娩時の機械的排出によって消失する。しかし、帝王切開や骨盤位分娩では機会的排出が働かず、また、早産児や、低出生体重児では低タンパク症になりやすいことから、吸収が悪くなる。臍帯結紮を速やかに行わなかった時にも、胎盤の血液が胎児の循環系に流入し、中心静脈圧を高め、肺間質からの吸収を抑制する。肺間質に液体が貯留したままだと、1かいかんきりょうが減少し、これを反映し多呼吸となります。
出生後、数分から数時間に多呼吸、呻吟、陥没呼吸で発症するが、呻吟、陥没呼吸に関しては呼吸窮迫症候群ほど顕著ではない。これは肺サーファクタントが正常なあめで、チアノーゼも軽度である。また、本症は、RDS.胎便吸引症候群、B群溶連菌感染による肺炎、頭蓋内出血、うっ血性心不全などの高リスク疾患を否定することで、除外診断する。ただし、正直後にみられる一過性の多呼吸の多くは本症である。
血液ガス所見は正常である。胸部エックス線写真では肺野が過膨張、肺門部が濃厚な陰影を示すのに比べ、抹消が明るい傾向を示すほか、軽度の心拡大もみられる。治療はチアノーゼが、存在するときは酸素投与を行うが、一般的には呼吸数や心拍数をモニターし、嚥下性肺炎に注意して経過観察していれば、24時間ほどで消失する。重症例ではPEEPやCPAPが必要となる。

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