本居宣長
本居宣長
もとおりのりなが(1730-1801)
小児科医・文献学者。
現在の三重県松坂市の商家に生まれる。22歳のとき、医学修行のため京都に留学し、朱子学者の堀景山の下で、医学・漢学・国学を学んだ。松坂に戻り開業後は、小児科医としての診察の傍ら、厳密な文献考証に基づいた日本古典文学の研究を開始した。1963年、国学の権威であった賀茂真淵と面会し、生涯を賭けた本格的な古事記の研究を決意する。以降35年を費やして執筆された「古事記伝」や「源氏物語玉の小櫛」という古典文学の注釈書によって、以降の日本文学研究に巨大な影響を及ぼした。日本人固有の精神を「大和魂」または「もののあはれ」という概念によって示し、孔子などの古代中国の思想を、自然に背く考えであり、漢心(からごころ)と呼んで批判した。死後、その思想の一部は、明治政府による中央集権国家を支えるイデオロギーとして曲解されて、政治的に利用された。