流行性角結膜炎(EKC)
流行性角結膜炎(EKC)は、アデノウイルス8型、19型、37型を主な原因ウイルスとする感染症である。
臨床像
- 1〜5歳を中心とする小児に患者が多いが、成人を含む幅広い年齢層にもみられる。
- 眼脂、流涙、羞明、耳前リンパ節の腫脹と圧痛、急性濾胞性結膜炎を呈する。
- 発症約10日後に点状表層角膜炎(点状上皮下混濁)を認める。
- エンテロウイルスによる急性出血性結膜炎は約1週間で治癒するのに対して、本症は治癒まで2〜4週間かかり、角膜の混濁による視力障害が起きやすいため注意が必要である。
- 乳幼児では眼症状も重く、瞼結膜に偽膜を形成することが多いほか、下痢などの全身症状を呈することも多い。
- なお学校保健安全法の第3種学校感染症に指定されているため、対象者は感染の恐れがなくなるまで登校できない。
診断
- かつては患者の鼻汁、唾液、喀痰、ぬぐい液などからウイルスの分離またはウイルス抗原の検出が行われていたが、近年ではラテックス凝集反応やELISA法を用いた方法も行われている。
治療
- 2〜4週間で結膜炎は自然治癒するため、混合感染予防目的で抗菌薬点眼を行う。なお、角膜の炎症がひどく、混濁はみられるときは抗炎症薬やステロイドを点眼する。