肥満低換気症候群
肥満低換気症候群(OHS)は高度肥満(BMI ≧ 30 kg/m2),高二酸化炭素血症(PaCO2 ≧ 45 mmHg)を伴う重症のOSAS,あるいは夜間の低換気例であり,ガス交換障害が高度であるため循環系合併症を惹起しやすく,予後不良の病態である。過去に Pickwick 症候群と呼ば れていたものに相当する。現在ではOHSは OSAS の最重症型と考えられている。治療には減量と同時にnCPAPが必要である。しかし,通常のOSAS患者に比して高圧のCPAPが必要であったり,CPAP だけでは睡眠中の低酸素状態(SaO2 の低下)を防止できない場合があり,bilevel PAPやAuto–CPAPによる治療が必要となることもある。無治療のOHSは非 OHS患者に比して予後が悪く,適切な治療法の確立が望まれている。