エナメル質
エナメル質
エナメル質…歯冠象牙質の表面を覆う、人体で最も高度に石灰化した上皮組織である。人体では唯一の外胚葉由来の上皮性石灰化組織でほとんど無機結晶から構成され、細胞成分を全く含まない。完成した歯のエナメル質は有機性基質を殆ど含まず人体で最も硬い組織。エナメル質の本体はエナメル象牙境からエナメル質表面に至るエナメル小柱である。
エナメル葉…エナメル象牙境からエナメル質表面に達する葉状の裂隙で、小柱構造を含まず有機質に富む為エナメル質内に断層や亀裂を生む原因となりう触の進行路ともなる。
エナメル叢…歯頚部のエナメル象牙境に分布する叢状の低石灰化部位である。小柱構造を含み、エナメルタンパクの脱却が阻害されて生じた構造でエナメル小柱の走行に沿って見られる。エナメル象牙境からエナメル質表面までの内層1/10から1/5に渡って存在する。
エナメル象牙境…エナメル象牙境における象牙質表面は、三次元的にはエナメル質に向かって波状の陥凹を形成している。陥凹はエナメル小柱を支え、エナメル質と象牙質の接着性を高めている。咬頭部分で深く、歯頚部では浅く平坦になっている。
成長線
レッチウス条(レッチウスの並行条)
隣接する横紋を連続的に繋げるとある特定の日の形成線が生じる。これが何らかの原因(発熱。薬物摂取等)で石灰化不良あるいは形成不全の線状として発現したものをレッチウス条という。発現に厳粛な規則性はないが、7-14日間隔で発現する。
ハンターシュレーゲル条
シュレーゲル条はエナメル小柱の走行が小柱の領域ごとに異なる為に作られる縞模様である。エナメル象牙境から起こり、エナメル質の内層1/3から1/2の領域に観察される。シュレーゲル条は完成に近いエナメル質で石灰化度の高い幅狭い縞と石灰化度の低い幅広い縞からなる。前者はシュレーゲルの縦断面、後者はシュレーゲルの横断面に当たる。