肺血栓塞栓症(肺塞栓症)・肺梗塞(acute pulmonary thromboembolism)

〈概念〉

静脈血中に入った塞栓子(血栓、空気、腫瘍など)が血流に乗って肺動脈につまり、低酸素血症をきたした状態を肺塞栓症という。

塞栓子は静脈系で形成された血栓(深部静脈血栓症〔DVT〕)が大半であり、この場合を特に肺血栓塞栓症という。

また、塞栓子によって肺動脈が完全に閉塞し、末梢組織が出血壊死した場合を肺梗塞という。

〈誘因〉

DVTの発症:長期臥床、手術後の安静が終わり歩行を開始したとき、長時間のフライト(エコノミークラス症候群)など

〈症状〉

突然の呼吸困難、頻呼吸、胸痛(吸気時に増悪)

〈検査〉

動脈血ガス:PaO2↓↓、A-aDO2開大、PaCO2↓がみられる。(低酸素血症、Ⅰ型呼吸不全、呼吸性アルカローシス)

血液所見:FDP↑、D-dimer↑(DVTの存在)

胸部造影CT:肺動脈内に血栓を認める。

本症の疑いが強く胸部造影CTにて診断が付かない場合、DSA(血管造影)にて血流の途絶を確認する。

また胸部Xpにて、

胸部Xpにて、肺門部肺動脈主幹部の拡大(Knuckle sign

血流が途絶した末梢肺野の透過性亢進(Westermark sign

心陰影の拡大 がみられることがある。

〈治療〉

バイタルサインの安定化が第一選択

まずはO2投与(低酸素血症を改善)

ついで抗凝固療法(まずはヘパリン)

必要に応じて、血栓溶解療法(ウロキナーゼ、t-PA

内科的治療が無効の場合、肺動脈血栓摘除術。

再発予防として、抗凝固療法(ワルファリン)、下大静脈フィルタ
留置など。

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