血管芽腫
成人(20〜70歳)の小脳半球に発生する良性腫瘍で、毛細血管に富み、腫瘍内に嚢胞(cyst)を有する。進行は緩徐であることが多く、頭蓋内圧亢進による頭痛で発症することが多い。腫瘍が産生するエリスロポエチンにより血液量に占める赤血球数の割合が正常値を超えて増加してしまう赤血球増加症を伴うことがある。20〜30%はvon Hippel-Lindau病の合併症としてみられる。その場合、脊髄などにも多発性にみられることが多い。MRI T1強調像で小脳半球に等〜低信号、T2強調像で高信号の嚢胞性病変、造影MRI T1強調像で、著名に増強される壁在結節が認められる。治療としては、まず手術で全摘を目指す。亜全摘出例、手術不可能例には放射線療法を行う。また、多発例や深部腫瘍に対しても腫瘍の増大を抑えることを目的に放射線療法を持ちいる。しゅようがちいさく無症状の場合は経過観察する。良性腫瘍であり、全摘出できれば治癒も可能である。腫瘍が残存した場合、再発もありうるが、生命予後は良好である。5年生存率は92%である。