21-水酸化酵素欠損症
21-ヒドロキシラーぜ欠損症(21-水酸化酵素欠損症)とは、先天性副腎過形成(congenital adrenal
hyperplasia: CAH)の1種で、グルココルチコイドとミネラルコルチコイドの欠乏と、アンドロゲンの過剰を呈する常染色体劣性の遺伝性疾患である。
副腎皮質ホルモンのうち、コルチゾールとアンドロゲンの合成に必要な21-ヒドロキシラーぜ(P450c21)が先天的に欠損することで、コルチゾールとアルドステロンが合成されない代わりに、アンドロゲンが過剰となるものである。そのため、アルドステロンの不足のために、Naの再吸収が減少するとともに、カリウムイオンと水素イオンの排泄が減少し、高カリウム血症、代謝性アシドーシスとなり、またコルチゾールの不足のために副腎不全によるショックを生じうる。この一方で、アンドロゲンの過剰により、女児では男性化徴候、男児では思春期早発症状が見られる。また、コルチゾールによるネガティブフィードバックが作用しないためにACTHが過剰となり、色素沈着と副腎の過形成を生じる。
21-ヒドロキシラーぜ欠損症は、新生児マススクリーニングの対象となっており、コルチゾールの原料となる17-OHプロゲステロン(これは通常、21-ヒドロキシラーぜによりデオキシコルチゾールとなる)の尿中の濃度が高値となるので、これを検出する。
21-ヒドロキシラーぜ欠損症の治療は、幼児期からのステロイド補充療法であり、また塩分喪失を防ぐために、食塩を与えるとともに必要に応じてミネラルコルチコイド(フロリネフ)の補充を行う。