一過性脳虚血発作
一過性脳虚血発作(transient ischemic attack: TIA)とは局所の脳や脊髄、網膜の一過性の虚血によって惹起される神経障害で2~15分以内に症状が消失し、急性梗塞に至らないものを指す。定義としては「局所の脳虚血や網膜虚血による短時間持続する局所神経症状発作であり、その持続は通常1時間未満で、画像上も急性脳梗塞を示す証拠がないもの」とされ、画像上所見が得られるものとは区別される。TIAの原因としては以下のようなものがある。
- 動脈硬化性病変
- 心臓内血栓微小塞栓
- もやもや病
- 血管炎
- 血液凝固異常
内頚動脈系でTIAを起こした場合には一過性黒内障や構音障害、片側の運動障害といった典型的なTIAの症状が現れるが、椎骨動脈系でTIAを起こした場合には両側の運動障害やめまいなど非典型的な症状をきたす。
TIAから90日以内に脳梗塞を起こす可能性は10~20%といわれており、早期の治療介入が重要である。治療法としては心原性TIAの場合はワルファリンなどによる抗凝固療法が行われ、非心原性TIAの場合はアスピリンやシロスタゾールなどによる抗血小板療法が行われる。