Eisenmenger症候群

≪概念≫
先天性心疾患による肺高血圧が進行し、肺動脈の硬化が不可逆となったものをEisenmenger症候群と呼ぶ。
≪診断≫
Eisenmenger症候群は酸素投与試験などで肺動脈圧の低下を認めないことにより診断される。VSDでは10歳前後でEisenmenger症候群になり、20歳代で心不全となることが多いが、染色体異常をもつ例では早期からEisenmenger症候群になる。
≪治療≫
Eisenmenger
症候群に陥った場合、手術しても肺高血圧は改善せず、循環動態に改善をみないことから手術適応外となっている。
利尿薬、強心薬の投与を中心とした薬物投与を行う。
≪合併症≫
Eisenmenger
症候群では右→左短絡が存在しており、静脈血が肺を通過せずに動脈系へ流入するためチアノーゼをきたし、多血症やチアノーゼ性腎症を合併する。
また、本来血液中に入った細菌や血栓は肺の毛細血管を通過する際にトラップされるため、動脈系へと循環することはない。しかし、右→左短絡が存在していれば、肺を通らずに動脈系に細菌や血栓も移行し、脳膿瘍や脳塞栓の原因となる。

注目の記事

心室中隔欠損症(ventricular septal defect: VSD)

≪疫学・概念≫ 先天性心疾患は出生児の1%ほどが合併する。心室中隔欠損とは心室中隔に欠損校が存在する奇形である。心室中隔は漏斗部中隔、膜様部中隔、肉柱性中隔、流入路中隔の4部分に分けられ、これらの中 …続きを読む…