チン小帯が脆弱、断裂、欠損
現在の主流の白内障手術において、破嚢のリスクを最も高くする患者側の要因である。
原因
①偽落屑症候群:全ての症例で支持組織の脆弱性を認めるわけではない。
②外傷:
③脈絡膜Coloboma:脈絡膜組織と共に下方のチン小帯が欠損している。
④Marfan 症候群:チン小帯が自然断裂し水晶体落下をきたすことあり。
術前に予測する方法
チン小帯の脆弱性を術前に正確に判断するのは困難である。
①前房深度に左右差が有る場合、注意が必要。
②スリットで診察して水晶体動揺性が有る場合、チン小帯の脆弱性が確実に存在する。検査方法は、瞬目させる、瞼の上から眼球を触診するetc
③仰臥位にすると、診察室(座位)での前房深度より深くなる場合がある。この場合はチン小帯の脆弱性を強く疑う。
④急性緑内障発作眼ではチン小帯が脆弱なことが多い。
術中早期に見られる所見
①前房深度が異常に深い(脈絡膜剥離が周辺部に存在する症例でも同様)
②前嚢切開を作成する際に、核が下方に沈む。フラップを進めると核も一緒にに動く。
③前嚢切開の最初、前嚢穿刺時に前嚢に大きく皺が寄る。
対処法
①iris retractor を前嚢切開縁にひっかける方法が非常に有効である。
②超音波乳化吸引時の還流ボトル高を下げ、吸引流量を下げる。
③断裂が一部に限られている場合、capsular tension ringを嚢内に挿入し断裂が拡大しないようにする。