SIADH(ADH不適合分泌症候群)

抗利尿ホルモン(ADH)の不適切な分泌(ADHが分泌されない低浸透圧領域[280mOsm/kg未満]でも分泌されてしまう)により体内に水分が貯留し、その結果、血液が希釈されて低Na血症、低浸透圧血症などを呈する病態を言う。予後は原疾患によって異なる。低Na血症の急速補正による橋中心性髄鞘溶解(CPM)発症に注意する。
症状
易疲労感、傾眠傾向、意識障害 ←希釈性低Na血症による脳浮腫
②血液検査で、低Na血症、血中尿酸・BUNの低下
中枢神経系疾患脳腫瘍、脳炎、髄膜炎、脳血管障害、頭部外傷)
 胸腔内疾患(肺炎、肺結核、慢性閉塞性肺疾患[COPD]) ←内因性ADH分泌更新
④または悪性腫瘍肺小細胞癌、膵癌)などの基礎疾患 ←異所性ADH産生腫瘍
⑤または薬剤投与歴(ビンクリスチン、抗うつ薬)などの所見がみられる
確定診断
1.低Na血症、血漿浸透圧↓(<270mOsm/kg)
2.尿浸透圧>血漿浸透圧
3.低Na血症にかかわらず、尿中Naは持続的に排泄される。(尿Na>20mEq/l)
4.脱水症状(-)、浮腫・腹水(-)
5.腎機能、副腎機能、甲状腺機能は正常
治療
原疾患があれば、その治療を併せて行う。
低Na血症に対する治療として以下のことを行う。
1.水制限(1日の水分500~1000ml)
2.薬剤投与(デメクロサイクリン、V2受容体拮抗薬)
3.高張食塩水(3%NaCl)+ループ利尿薬(低Na血症が高度の場合のみ)

(参照:クエスチョンバンク)

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