下顎骨
(外側)]] (内側)]]
下顎骨 mandible boneは頭蓋骨の一つ。下顎体と下顎枝からなる。
下顎孔から、下歯槽動脈、下歯槽静脈、下歯槽神経が下顎骨内に入り、下顎管を通り、歯槽と交通した後、オトガイ孔よりオトガイ動脈、オトガイ静脈、オトガイ神経として出る。下顎管は下顎第三大臼歯に近接しているため、抜歯時の偶発症として、下歯槽神経の麻痺等が発生する危険性がある。
関節突起 mandibular condyleが顎関節にて側頭骨の下顎窩と連結する。
筋
下顎に停止する筋
下顎に起始がある筋
疾患
顎変形症
顎変形症に対する治療で下顎骨におこなわれる処置として、日本で最も用いられているのは下顎枝矢状分割術(Obwegeser-dal Pont法)であるが、この他、症状などにより下顎枝垂直骨切り術、下顎前方歯槽部骨切り術等が用いられる。
下顎骨骨折
頭蓋骨の中で最も強い骨である。以前は交通事故によるものが多くを占めていたが、シートベルトの義務化とエアバックの普及で、交通事故による症例は減少している。最近では殴打やスポーツ外傷によるものが多くなっている。小児等では、虐待の可能性もある。治療法としては観血的整復固定術(チタンプレートやPLLA吸収性プレート)が主であるが、顎間固定のみによる非観血的治療が選択されることもある。下顎角部や正中部は直達骨折、関節突起部は介達骨折が多い。骨折線に歯がかかる症例では、抜歯が必要となることもある。
腫瘍
下顎骨を好発部位とする腫瘍はエナメル上皮腫、複雑性歯牙腫、歯原性石灰化上皮腫、歯原性粘液腫、セメント質形成繊維腫、良性セメント芽細胞腫、エナメル上皮繊維腫等数多く存在する。