ES細胞
ES cell : embryonic stem cell 胚性幹細胞
[http://www.lifescience-mext.jp/trc/cont/00_www/basics/02_01.html 参考サイト ES細胞とは]
[http://www.lifescience-mext.jp/trc/cont/00_www/interview/020710_nakatsuji/nakatsuji_guideline.html ヒトES細胞に関する樹立と使用に関する指針]
ES細胞(胚性幹細胞)とは
受精卵は2分割、4分割、8分割と分裂し、桑実細胞、胞胚を経て胚盤胞とよばれる状態になる。この胚盤胞は外側の栄養外胚葉と内部細胞魂及び胞胚腔より構成される。この内部細胞魂は外胚葉、内胚葉、中胚葉へと分化していくが、この細胞魂を崩してフィーダー細胞(MEF;mouse embryonic fibroblast)上でLIF等を添加して培養すると、三胚葉への分化能力を維持しつつ( 多能性 )未分化な状態のまま増殖し続けることができる(自己複製能力)細胞ができる。これをES細胞という。
ES細胞の歴史
マウスES細胞の樹立:Establishment in culture of pluripotential cells from mouse embryos. Evans MJ Nature. 1981
ヒトES細胞の樹立:Embryonic stem cell lines derived from human blastocysts Thomson, J. Science 1998
胚性幹細胞の歴史 Nature Reviews Genetics 7, 319-327 (April 2006)
最近のトピック
従来にように受精卵を破壊しなくとも、体外受精時の遺伝子診断に用いるのと同様、受精卵の早期分裂細胞から取り出した一細胞(blastomere)からES細胞が樹立できたとの報告がなされた。
Human embryonic stem cell lines derived from single blastomeres Klimanskaya I et al, Nature 2006
山中伸弥教授がマウスにつぎ、ヒト細胞においても遺伝子挿入により多能性を獲得したiPS細胞を作ることに成功した。
ES細胞の応用
上記の性質を利用して、再生医療への応用が各分野で試みられている。また、ES細胞より得た分化細胞を臨床応用するにあたって問題となる移植拒絶の問題を解決すべくクローンES細胞を作成する試みもあるが(近年の韓国の捏造事件など)、ヒトにおいてはまだ成功おらず、倫理的な問題も残されている。
基礎研究においては、各種蛋白の生体内における機能解析をするために、ES細胞を用いてさまざまなノックアウトマウスが作られてきた。